ブログ京都四条烏丸店

ちまきと京料理

55日は端午の節句です。

端午の節句には、ちまきや柏餅を食べて男の子の健やかな成長を願います。

ちまきを食べて邪気を払い、無病息災を願うのが習わしです。

 

今回は“ちまきと京料理”についてお話させていただきます。ちまきは、日本料理では八寸などで使用して季節を演出します。その中身は、鯛のお寿司などが一般的ですが胡麻豆腐などもあり様々です。

鯛のお寿司は、鯛の身を薄く切り、寿司飯には木の芽を細かく切って入れます。これを形にし、笹の葉でくるっと巻いて、さらにこれをい草で巻いて出来上がりです。これがなかなか難しく、熟練を要します。お寿司には笹の香りがほのかに移り、これを食べると夏の訪れを感じるものです。

 

京料理では、ちまきは特別な意味があるように思います。京都の人は、暑くて長い夏の時期に色々な場面でちまきを取り入れ、涼を愉しむ習慣を創り上げてきました。

京料理としては、涼しげなガラスの器や竹籠の中に旬の食材とちまきを盛り付けるととても夏らしい一品となります。さらにこれに青紅葉をあしらうと、とても素敵です。

ちまきは夏らしい一品。これがあるだけで一気に季節感が増し、品格も上がります。

京都店写真1 

 

〈ちまきの歴史〉

そのちまきですが、始まりは平安時代、中国から伝わったと言われています。中国のちまきは、味付けしたもち米を笹で巻き蒸したものですが、地域によって形も中身も様々で、そこに豚肉や小豆を入れるところもあったようです。現在でも、中華料理でちまきは人気がありますが、日本料理のそれとは随分異なりますね。

 

〈ちまきの笹〉

ちまきを巻く笹は、“ちまき笹”と言われ、京都市北部に自生しています。京料理はもちろん、祇園祭や和菓子にも使用され用途は非常に多いようです。

葉の大きさが大型で、葉の裏に毛がないのが特徴で、ちまきを巻くのに最適です。昨今は市販の“熊笹”を使うのが一般的です。

そして、ちまきを巻く際に使用するのが“い草”です。い草は日本畳の原料として有名で、主産地は熊本県八代地方。国内生産の8〜9割のシェアを占める一大生産地です。

近年では、中国産の安価ない草が流通するようになり、全流通量に対する国内生産のシェアは3〜4割にまで落ち込んでいるそうです。

 

〈和菓子とちまき〉

さて、和菓子の世界でも夏はちまきがよく使われます。中身は団子や羊羹、ういろうなど様々。中でも“川端道喜”は特に有名で、京都御所御用達として知られています。

このように、京都の人々は夏になるとちまきを楽しむ機会が多くなってまいります。京都の夏の風物詩と言えるでしょう。

 

〈祇園祭りとちまき〉

そして、京都で“ちまき”というと祇園祭を連想される方も多くいらっしゃると思います。祇園祭の時期、それぞれの鉾町ではちまきが飾られ、一般客向けに販売もされます。

このちまきは食べられるものではなく、家の玄関や大切な場所に飾るお守りのようなものです。素材は“わら”や“ちまき笹“、“い草”で作られており、1年間厄除けや無病息災のお守りとして飾られます。そして、1年後には新しいものと取り替えられるのが習わしとなっています。

 

祇園祭のちまきには「蘇民将来子孫也」というお札が付いています。これは、祇園祭の氏神様である“スサノオノミコト”の神話に由来します。

スサノオノミコトが旅の途中、宿に困り、裕福な“巨旦将来”に宿を求めましたが断られてしまいました。やむなく今度は貧しい“蘇民将来”に宿をお願いしたところ、快く迎えられ

質素ながらも手厚くもてなされたといいます。

それ以来、スサノオノミコトは“蘇民将来”にたいそう感謝され「家に茅の輪を飾り、蘇民将来のお札をつけなさい。そうすれば、災いから逃れられ幸せに暮らせます。」とおっしゃいました。そして、京都の町衆たちはこの時期になると茅の輪を飾り「蘇民将来子孫也」のお札をつけるようになりました。

災いから逃れ、健康で幸せに暮らしたいという思いは今も昔も変わりません。

 

このように、ちまきは京都の人々と様々な場面で深い関わりを持っています。端午の節句にはちまきを食べ、祇園祭の時には厄除けのちまきを飾ります。

 

こうして京都の人々はちまきとの関わりの中で夏を味わい、ちまきは涼を愉しむための一つの形として愛されてきました。

 

当店では夏の時期、会席料理などでちまきを取り入れております。

旬の食材をふんだんに使い、涼しげで季節感のあるお料理でお客様をおもてなししております。

お客様のご来店を従業員一同、心よりお待ちしております。

 

                         瓢斗京都店 料理長 山本耕作

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