ブログ京都四条烏丸店

2017.1.19

七草粥と小豆粥

明けましておめでとうございます。

今回は一月ということで「七草粥」と「小豆粥」についてお話ししようと思います。

〈七草粥〉

まずは、一月七日は七草粥の日です。

皆様もご存知の通り、春の七草とは「せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ」のことです。

七草粥は、おかゆの中にこの七草を刻んだものを入れたシンプルな料理です。

この七草粥の習慣が一般的になったのは、江戸時代と言われ、その起源は中国の「人日(じんじつ)」の節句や日本の「若菜摘み」の風習に由来すると言われています。

昔、中国の古い風習では正月の七日を「人日(じんじつ)」と呼んでいました。

それは占いの風習で、一日は鶏の日、二日は犬の日、三日は猪(豚)の日、四日は羊の日、五日は牛の日、七日は人の日(人日)としていて、それぞれの日はその動物をとても大切にしていたそうです。

特に人日の日には「七種菜羹」(7種類の菜が入った吸い物)を作り、邪気を払い、無病息災を願いました。

そして、日本の「若菜摘み」の風習ですが、古来日本では新春に野の若菜を摘んでそれを食する習慣がありました。百人一首の有名な光孝天皇の句です。

〈君がため春の野にいでて若菜摘むわが衣手に雪は降りつつ〉

平安貴族たちは、現在の京都の紫野などで七草を摘んで大切な人に贈る心情が詠まれています。「若菜迎え」とも呼ばれていました。

この平安時代に伝わった「人日の節句」と日本の「若菜摘み」の風習が溶け合い、七草粥の習慣が生まれたと言われています。

これが江戸時代に庶民まで広まりました。

現在では、七草粥はお正月のご馳走で疲れた胃腸を意味合いも強いですが、「一年間家族が病気をせず、健康に過ごせますように」と願う思いは、平安時代も今も変わりありません。

昨今、スーパーや百貨店などではパック入りの七草セットが容易に手に入るようになりましたね。七草粥を作って味わう家庭も減りつつある中で、古人より受け継がれてきた良き伝統や季節感を大切にする気持ちは大事にしたいものですね。

京都ブログ写真1

〈小豆粥〉

次は小豆粥についてです。

一月十五日(小正月)に小豆粥を食べて邪気を払い、無病息災を願うという風習です。

十五日粥ともいわれます。

小豆粥の由来は、平安時代といわれています。有名な「土佐日記」や法典「延喜式」にも小豆粥が書かれ、偉い方にこの小豆粥を捧げたそうです。

作り方は、おかゆの中に柔らかく茹でた小豆を入れて塩で味を調整したら完成です。

地域によっては砂糖で味を甘くしたり、焼いたお餅をいれるところもあるそうです。

小豆の淡い赤色から「さくら粥」「赤粥」とも呼ばれています。

七草粥に比べて小豆粥は認知度も低く、実際にこの日に食べる人も少ないようです。

まだまだ寒い日が続きますが、

皆様が健康でよい日々を送れますように。

瓢斗京都店 料理長 山本耕作

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