ブログ京都四条烏丸店

2017.3.22

京の花見弁当

皆様、季節はすっかり春めいてまいりました。

 

春はお花見の季節です。桜を愛でながらポカポカ陽気の中でいただく花見弁当は、最高の贅沢ですね。

京都は4月、桜の見頃を迎えると京の町は観光客の方でいっぱいになります。

日本だけでなく、世界中から桜のお花見客が集まり桜ムード一色です。

 

京都の料理店ではこの時期、それぞれが趣向を凝らしたお花見弁当をこしらえお客様をもてなします。旬の桜鯛を使った桜寿司やたけのこの田楽、花見団子に白魚など、色鮮やかで本当に美味しそうです。

 

さて、春は食材が豊富な季節です。

野菜では、京たけのこや山菜類(わらび、タラの芽、こごみ、ふきのとう、ふき、うるいなど)、菜の花、春キャベツ、新玉ねぎ・・・。

魚介類では、貝類(はまぐり、みる貝、赤貝、あさり、とり貝)や桜鯛、サヨリ、アイナメ、キス、さわらなど、多くの食材が一斉に旬を迎えます。

これらの食材をふんだんに使い、見た目に豪華で美しいお弁当を工夫して作る。それが「花見弁当」です。

 

現在では、使い捨てのお弁当箱が一般的になりましたが、お重箱に入れると、よりいっそう豪華ですね。お重も2段や3段ですと本当に華やかで素敵です。

その形もそれぞれが個性的で丸いものや、ひょうたんの形をしたものなど様々。まるで春の宝石箱のようで、食べるのがもったいないくらいです。

 

その花見弁当は、いつ頃から始まったのでしょうか。

諸説ありますが、江戸時代に広まったと言われています。お花見の歴史は古く、平安時代にまで遡ります。平安時代の「万葉集」や「古今和歌集」の中で桜は度々登場し、この頃から桜は春の主役となっていきました。「源氏物語」や鎌倉時代の「徒然草」など日本の歴史的な書物の中でも、桜は非常に重要な役割を持っていました。

 

世の中に絶えて桜のなかりせば 春のこころはのどけからまし    〈在原業平 古今和歌集〉

(世の中に桜の花がなかったら、春の季節はなんとのんびりしたものだろう)

 

あまりにも有名な古今和歌集の一句です。

 

花の色は移りにけりないたずらに わが身世にふるながめせしまに   〈小野小町 古今和歌集〉

(美しかった花の色も色あせてしまった 物思いにふけっているうちに私の容姿も すっかり衰えてしまったことだなあ) 

 

世界中で日本人ほど桜を愛する民族はありません。桜は日本の国花でもありますね。

中でもソメイヨシノ(染井吉野)の品種が一番多く、全国の花見スポットの桜の約8割を占めると言われています。

 

奈良県吉野は日本一の桜の名所として有名です。1,300年も前から“千本桜”として人々に愛されてきました。春の最盛期には3万本もの桜が咲き乱れ、世界中から花見客が訪れます。

 

京都にも桜の名所は沢山あります。円山公園のしだれ桜、醍醐寺の桜、哲学の道。円山公園のしだれ桜は樹齢こそ90年あまりですが、その迫力は圧巻で、特に夜にライトアップされたその佇まいは、言葉を失うほどの美しさです。

醍醐寺はかの太閤、豊臣秀吉が“醍醐の花見”の宴を開催したことで有名です。正室のねね、側室の淀君ら1000人もの人々が参加する絢爛豪華なものだったようです。 

         

近年は京都の寺社では盛んにライトアップが行われています。桜の季節は昼夜問わず、花見客で賑わいます。

 

このように古来より日本人は桜を愛でてきました。どうして日本人はこんなにも桜を愛するのでしょうか。その理由は、桜の花の『短命さ』にあるのかもしれません。

 

桜の花は開花して、わずか1週間から2週間で散ってしまいます。この桜の“はかなさ” “いさぎよさ”が日本人の美意識と一致したのかもしれません。

1300年以上も前から桜を愛してきた日本人は、これから1000年後も桜を愛し続けることだと思います。

 

桜が見頃のこの季節、春らしいお料理でお客様をおもてなしいたしております。

従業員一同、お客様のお越しを心よりお待ちしております。

京都店 写真1

 

瓢斗京都店 料理長 山本耕作

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