ブログ京都四条烏丸店

京料理とお月見

 

9月9日は重陽の節句です。
古来の中国で最も高貴な節句として、平安時代の中期に日本に伝わりました。
菊を飾り、菊酒を飲む。菊を愛でることで邪気を払い、不老長寿を願う習わしです。
もう一つ、9月の日本ではお月見の習慣があります。
中秋の名月(今年は10月4日)にすすきや小芋を飾り、月見団子を食べるのが習わしです。
この日は旧暦において“秋のど真ん中”という意味があり、

とても大切で、特別な日であったようです。
これは農作物の秋の実りに感謝する“収穫祭”のような意味合いがあると言われています。

 

 

 

【9月のお料理】
収穫の秋、実りの秋と言われる通り、秋は多くの食材が旬を迎えます。
野菜ではきのこ類をはじめ、栗、銀杏、里芋、松茸など。
魚介類では秋刀魚、秋鮭、かます、紅葉鯛などがあります。

 

9月のお料理の中では、食用の菊の花を使ったり、小芋や月見団子を使ってお月見の風情を

演出したりします。
玄関や床の間には、すすきや色鮮やかな秋草が飾られて、より一層秋の雰囲気も高まります。
旬のきのこを使った白和えや、色鮮やかに盛り付けられた八寸、名残の鱧を艶やかに盛り込んだ

お造りなど、見た目にも豪華で秋を感じるお料理ばかりです。

 

 

 

 

【京都 月見の名所】
〇桂離宮
世界的にも有名な月見の名所。
ドイツの建築家ブルーノ・タウトの著書『ニッポン』の中で、「泣きたくなるほど美しい庭園」と紹介され、国際的な評価が一気に高まりました。
桂離宮は江戸時代前期、八条宮智仁親王、智忠親王の親子二代にわたり約50年間もの歳月を

かけて建設されました。
「日本の回遊式庭園の最高傑作」と言われ、国宝に指定されています。
細部に渡るまで日本独自の美意識がちりばめられており、
“月を愛でるための壮大な舞台装置”となっています。

当時、中秋の名月に庭園の池に舟を浮かべ、月を愛でながら和歌を詠む。
これが最高の贅沢であったようです。

 

  ひさかたの 月の桂も秋はなほ 紅葉すればや 照りまさむらむ

                             「古今和歌集」

 

 

〇大沢池の観月祭
大沢池は京都市北部の嵯峨野の地にあります。
平安時代、嵯峨天皇はこの大沢池で盛大な宴を催したと言われています。
中秋の名月に当時の文化人、貴族たちを集めて行われた“観月祭”。
現在も中秋の名月にはこのお祭りが行われています。
夜空に輝く月、そして池の水面に映る月を愛でながら、当時の嵯峨天皇に
思いを馳せるのもこの時期にしかできない体験です。
このことから、ここは「日本三大名月鑑賞池」に指定されているそうです。
船の先端が龍の頭の形をした“龍頭船”が有名です。

 

 

 

〇京都の月見団子
京都の月見団子は里芋の形にして、こしあんでくるむのが一般的です。
十五夜の日に里芋を神様にお供えすることに由来すると言われています。
また小豆を使っているところから“邪気を払う”という意味もあるようです。
お団子の上にこしあんを乗せるさまが「月にかかる雲」を表しているとの説もございます。
ともあれシンプルであんのない関東風と比べると、関西風は色々な意味合いがあって面白いです。

 

京都の各家庭では“お月見の夜”になると、すすきを飾り、里芋や月見団子を神様にお供えして

五穀豊穣と感謝の気持ちを祝います。
近年は日本の伝統的な節句行事への人々の思いも少しずつ薄れつつあるように思います。
私たちは日本料理に携わる者として、先人から受け継がれてきたこれらの伝統行事を途絶えることのないよう守っていく事はとても大切だと思います。

 

 

京都 月見ブログ

 

 

 

瓢斗京都店では会席料理などで自家製の月見団子をお出ししております。
その他、秋の旬の食材をふんだんに使用して色とりどりの季節感のあるお料理を

ご用意しております。
従業員一同お客様のお越しを心よりお待ちしております。

 

 

                         瓢斗 京都店
料理長 山本耕作

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