ブログ京都四条烏丸店
京漬物
京都は古くからお漬け物の一大産地として有名です。
「京都ではお漬け物でビルが建つ」と言われる程、大きな産業となっています。
京都盆地は“山紫水明”の地としても有名で、その名の通り豊富な地下水に恵まれ伝統的京野菜に見られる野菜が盛んに栽培され、お漬物を作るための絶好の立地条件にありました。
豊富な地下水、豊富にとれる野菜、お漬物作りに適した気候風土など多くの条件が揃った京都ではとても美味しいお漬物ができます。
また京都は禅宗からくる精進料理の発達や茶の湯文化が発展した地でもあります。
精進料理や茶の湯の世界での懐石料理ではお漬け物は白御飯と同様、大切な一品です。
今回は京都の食文化の中でも大変重要な役割を果たしてきた京漬物についてお話をさせて頂きたいと思います。
さて皆さんは京都で一番よく売れているお漬物は何かご存知でしょうか?
数多くの種類のお漬物が作られ、販売されている中で最もよく売れているのは“すぐき” だと言われています。
その次に柴漬け、千枚漬けだそうです。
これらは京都三大漬物と呼ばれ、京漬物の中でも特に有名です。
ここからはこの『京都の三大漬物』のおはなしです。
すぐき
すぐきの原料は“すぐき菜”と呼ばれる伝統的京野菜です。
すぐき漬けは、このすぐき菜と塩だけで漬け込んで作られ、乳酸菌の発酵による酸味が特徴です。
すぐきの歴史は古く今から400年前の桃山時代にまで遡ります。
諸説ありますが起源は上賀茂神社の社家で栽培を始めたのが始まりと言われています。
江戸時代末期になると一般家庭でもこのすぐき菜は栽培されるようになります。
次にすぐき漬けの作り方をご紹介します。
冬に収穫したすぐき菜を塩水で下漬けします。
次にこれに塩をまぶして約1週間置きます。(本漬け)
最後に室の中で約8日間発酵させると出来上がりです。
完成したすぐき漬けの葉や茎は鼈甲色に似た深い色になり、かぶらの部分は黄色みがかった乳白色になります。
柴漬け
柴漬けは京都の奥座敷、大原が産地として有名です。
大原は昼夜の寒暖の差が大きく香り豊かな良質な赤紫蘇ができます。
この赤紫蘇の葉と一緒にきゅうり、茄子、みょうが、生姜などを塩漬けして乳酸発酵させたものが柴漬けです。
赤紫蘇から出る赤い色素により全体が色鮮やかで美しい赤色に染まります。
柴漬けの歴史は古く、その起源は平安時代末期にまでさかのぼります。
平家滅亡後、当時大原にあった寺院にこの柴漬けの原型が献上されたと伝えられています。
作り方はまず赤紫蘇をきれいに洗ってから塩でよく揉んで赤いエキスを出しておきます。
なす、胡瓜、みょうが、生姜はいい大きさに刻んで置きます。
これらを約10%の塩とともにまんべんなく樽に漬け込みます。
これにしっかりと重石をして約1ケ月漬け込んだ後、更に1ケ月間乳酸発酵させれば完成です。
使う野菜や塩加減、重石の重さなど、それぞれ少しずつ違います。
千枚漬け
千枚漬けとは伝統的京野菜である聖護院蕪を薄く切り、塩で下漬けし、昆布、唐辛子などで漬け込んだ後、乳酸発酵させたもので、京都を代表する
お漬物の一つです。
名前の由来は一つの樽に漬け込む量が千枚以上にもなること、また蕪を薄く千枚以上にもスライスすることに由来すると言われています。
起源は江戸時代にあると言われていますが、最初は聖護院蕪を塩のみで漬け込んだ素朴なものであったようです。
冬を代表する京野菜である聖護院蕪の収穫時期(11月〜3月頃)に合わせて仕込みが行われます。
現在では漬け方も様々で砂糖や酢などの調味料を使用して大量生産されるところもあります。
それぞれ味や風味、技法など独自に工夫を凝らして丁寧に作られています。
瓢斗 京都店では1年を通じて季節の京漬物をご用意しております。
従業員一同お客様のお越しを心よりお待ちしております。
瓢斗 京都店
料理長 山本耕作