ブログ京都四条烏丸店
京都のおばんざい
おばんざいとは昔より京都の一般家庭で作られてきた惣菜のことで、京都の日常の家庭料理です。
近年はヘルシーなイメージから人気が高まり惣菜店で販売されたり、百貨店やスーパーなどのおばんざいの専門店が盛況です。
おばんざいは旬の京野菜などの季節の食材を用いて無駄の出ないように工夫した、京都の家庭で代々受け継がれてきた食文化です。
商家など町衆や奉公人の質素倹約を信条とする慎ましい暮らしとともに町内や家ごとの年中行事や習慣の中で育まれてきたものです。
野菜の葉や皮、だしをとった後の昆布やかつお節、煮干しなどの残物を決して無駄にせず、上手に使い切る。
この工夫こそ“始末する”と言われる、おばんざいの最も重要な精神性なのです。
特徴は素材本来の持つ味を最大限に生かしたシンプルな味付けでありながら毎日食べても飽きのこないものであることです。
見た目は質素に見えますが、栄養価が大変高く本当の意味での贅沢であると言えます。
漢字で書くと「お番菜」とか「お晩菜」、「お万菜」などいろいろです。
ここでは代表的な京都のおばんざいについて、それぞれ簡単に作り方をご紹介させていただきます。
代表的な京都のおばんざい
・切り干し大根 -切り干し大根は30分程水につけ戻します。
人参と油揚げを細切りにします。
鍋にだし汁、調味料、切った切り干し大根、人参と油揚げを入れ15分ほどコトコト炊いたら
できあがりです。
・卯の花 —細切りにした人参、ごぼう、しいたけ、油揚げ、こんにゃくなどを鍋で炒めた後、おからを加えさらに過熱します。
その後、お出汁と調味料を加え、煮汁がある程度なくなるまで炊いたら完成です。
・紅白なます —細切りにした大根と人参を海水くらいの塩水にしばらくつけておきます。
しなりしたら甘酢につけて味をなじませます。
器に盛り付けて、いりごまや千切りした柚子をのせると、とてもおばんざいらしくなります。
・ひじきの炊いたん -ひじきは乾燥の場合は水で戻してから使います。
人参、油揚げ、こんにゃくなどを細切りにしたものを油で炒めます。
そのあとお出汁と調味料を加えてしばらく炊きます。
鍋ごと冷まして味をなじませます。
・海老豆 —大豆は一晩水につけておきます。次の日これを柔らかくなるまで湯がきます。
別の鍋に酒、砂糖、しょうゆなどの調味料ををいれ煮立たせ、そこにスジエビ、大豆を加え20分ほど炊いたら、できあがりです。
・万願寺唐辛子とちりめん山椒 -ちりめん山椒はちりめんじゃこを実山椒と調味した、たっぷりの煮汁でふっくら炊き上げたもの。
万願寺とうがらしは焼き目をつけて強火で焼きます。
これを適宜切ってちりめん山椒と混ぜたら完成です。
・てっぱい —九条ネギはさっと湯がいて2cm程度に包丁します。
油揚げは細切りにして湯がいておきます。
これらと酢味噌をいい塩梅(あんばい)で和えてできあがりです。
・壬生菜とおあげの炊いたん -おあげは適宜大きさに切って甘辛く味付けしたお出汁で柔らかく炊きます。
そのあといい大きさに切った壬生菜を入れてさっと煮ます。
・小芋の炊いたん -小芋の皮をむいたあと、よく洗ってぬめりを取ります。
調味したお出汁でじっくり炊いて味を含ませます。
1日置いてから食べる方が味が馴染んで美味しいです。
かつて日本の家庭の食卓ではこうしたおばんざいが家庭料理の中心でした。
現在ではカレーやハンバーグなど食卓の料理も様々です。
おばんざいなど日本の伝統的な家庭料理が疎遠になりつつあります。
私たちはこれらを大切にして日本の食文化を守っていきたいものです。
瓢斗京都店ではアラカルトのメニューの中でおばんざいの料理をご用意して
おります。
従業員一同お客様のお越しを心からお待ちしております。
瓢斗 京都店 料理長 山本耕作