ブログ京都四条烏丸店

2017.3.4

冬のごちそう 蕪蒸し

皆様まだまだ寒い日が続きますが、いかがお過ごしですか。
今回は京都の冬の味覚“蕪蒸し”についてお話しさせていただきます。

 

冬の野菜の代表格といえば蕪ですね。

京都の伝統的京野菜の聖護院蕪は千枚漬けの原材料としても有名です。
古来より「すずな」と呼ばれ愛されてきました。
この名前は江戸時代中期に京都の聖護院に住む人が、滋賀県の近江蕪を改良してできたことに由来します。
色は雪のように白く、形はふくよかな丸みのある球形で、みずみずしく、甘みのある
果肉が特徴です。その美しさから”畑の宝石”と呼ばれています。
大きさは最大のものは5kgにもなり、日本一大きい蕪としても知られています。
蕪は古事記や日本書記にも記載があり、古くから食用とされてきました。

 

“蕪蒸し”は蕪をすりおろしたものを白身魚などを具材にして蒸す料理です。
白身魚は若狭でとれた甘鯛を入れると、とても豪華で美味しくなります。
“若狭ぐじ”とも呼ばれ、“明石鯛”と並んで最高級の食材で、焼き物や昆布締めなど
用途はさまざまです。
甘鯛の他に百合根や生麩、しいたけをいれるとおいしいです。

 

〈作り方〉
作り方は、まず蕪をすりおろします。
これをザルにあげて、水気を切って卵白を加えて塩で味付けします。
この卵白は泡立て器でかき混ぜてメレンゲ状にして入れます。
こうすることで、まるで淡雪のようなふわふわした食感になります。
器に白身魚、百合根、生麩、しいたけをおいて、この蕪をのせ蒸しあげます。
蒸し上がったものに、とろみをつけて味付けした出汁かけ、わさびをのせたら、出来上がりです。
この時期の京料理には欠かせない一品で、冬の寒いこの時期に身も心も温まる一品です。

 

〈蕪の栄養価〉
さて、次は蕪の栄養価です。
蕪には非常にたくさんの栄養価があります。
免疫力を高めたり、風邪や便秘を予防する効果があるそうです。
さらには美肌効果があるビタミンCを多く含んでおり女性にとってはまさに一石二鳥の
食材と言えます。

蕪は根と葉の部分に分けることができ、葉の部分は大根と同じくジアスターゼやアミラーゼという酵素を豊富に含んでいます。
生で食べることのによりビタミンCを摂取でき風邪の予防に効果があります。
このビタミンCには疲労回復や美白効果があると言われています。

蕪は根のほうを食べるのが一般的ですが、根のほうにも多くの栄養価が含まれています。
葉の方は捨ててしまう方も多いと思いますが、是非スープに入れてみたり、湯がいてサラダ
に入れてみてはいかがでしょうか。
京漬物の千枚漬けは特に有名ですが、おばんざいの煮物やなますなど料理法は多岐にわたります。
和食に限らず、フレンチ、イタリアンなどジャンルも選びません。

新鮮で品質の良いものの選び方は、まず根の部分が白くてツヤのあるもの。
丸くて硬く締まっているもの。次に葉の緑色が濃く、シャキッとしているものが良いでしょう。
保存方法は買ったらすぐに葉を切り落とし、根と葉の部分を別々に保存する。
葉が付いていると、葉の部分が根の部分の水分や旨味を吸い取ってしまいます。
賞味期限は約1週間程度が目安です。
葉の方は切り離したらすぐに冷凍するのが良いでしょう。

海老芋や金時人参などと同様、聖護院かぶらは古くから京都の人々に愛されてきました。
近年は京野菜ブランドが確立され、注目されています。
日本中のどの場所でも京野菜が手にはいる便利な時代になりました。
料理法も多様化する昨今、冬の味覚 “蕪蒸し”はこれからも大切にしていきたいですね。

“三寒四温”という言葉がありますが、春が少しずつ近づいてきています。
当店では、京野菜など季節の旬の食材を使用した会席料理や、名物の出汁しゃぶ会席など
豊富にご用意しております。
お客様のご来店を従業員一同、心よりお待ちしております。

京都店 写真

                        瓢斗京都店 料理長 山本耕作

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